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人間仮免中つづき の感想・レビュー

4年くらい前に前作「人間仮免中」を読んだ。「このマンガがすごい!」にランクインしていたのがきっかけだった。「人間」と「仮免」を組み合わせるというパワーワードもすごいが、そのマンガの分厚さも気になった。濃厚な匂いがする。その予想はあたり、わたしの中で一生忘れないだろうマンガのひとつになった。

「人間仮免中」は壮絶な過去を持ち重度の統合失調症である作者の卯月さんと、25歳年上の恋人ボビーとの生活を中心に描かれたマンガだ。絵はお世辞にもきれいとはいえない。そして、わたしが絵を描くようになってから気づいたのだが、そのときの精神状態がもろに作画に表れていて、非常に生々しい。

前作のラストで卯月さんは、幻聴と幻覚症状が悪化。歩道橋から飛び降りて自殺を図り、顔から道路に突っ込んで顔面崩壊した。しかし、一命を取りとめ回復…というところで終わっていたかと思う。

その後どうされていたのか気になっていたが、症状がいままでにないほど悪化し、ボビーとは離れて北海道の施設に入所していたそうだ。そして「人間仮免中つづき」では、ボビーが北海道にやってきて、一緒に暮らし始めるところからはじまる。

実は我が家ではずっと以前、家族のひとりがうつ病になった。1日中寝てたかと思ったら一晩かけて家の掃除する、知らない人を家に連れてくる、毎晩ネットで自殺相談をする、口を開けば生きている価値がない死にたいと言う、などを繰り返しており、同居していた別の家族も心労がたたって心療内科通いするようになってしまった。その時は家庭崩壊ギリギリだったと思う。

しかし卯月さんの世界は、そのさらに上のわたしがまったく知らない領域にある。理解不能すぎて、正直読むと頭痛がする。いままで卯月さんが死ななかった方が奇跡だと思うし、ボビーさんに至っては存在自体が奇跡だ。このマンガを読むと「人が生きていられるのは関わってくれる人がいるから」に尽きるのではないかと思う。

巻末に番外編の「東日本大震災」の話が載っているのだが、これがまた堪えた。これまで見聞きした震災関連の情報の中で、一番堪えた。

 

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